みこし先導 優雅に  富山県南砺市・城端

2018年4月6日版掲載

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今冬は大雪や厳しい寒さに見舞われたが、3月に入ると一度も降雪がないどころか初夏のような陽気が続いた。桜も開花から満開と散り急いでいるようで、別れの季節とも重なって何となく寂しい。

それでも4月ともなれば、学校も社会も新年度がスタートし、もうすぐゴールデンウィークがやって来る。正月やお盆と違って自由時間をもらったようではあるが、準備を怠ると、あっという間に終わってしまう。スポーツに美術館巡り、旅行など盛りだくさんの中から何を選ぶかは楽しくもあり、悩ましいところでもある。

私が住む富山県南砺市には、高岡市の「高岡御車山祭」(5月1日)、魚津市の「たてもん祭り」(8月第一金、土曜日)と並ぶ祭りの、ユネスコの無形文化遺産に登録された「城端曳山祭」(5月4、5日)がある。祭りの舞台・城端地区の歴史は古く、約450年前には、善徳寺を中珍に開かれている。加賀藩は五箇山で生産された生糸などの産品を流通させる際、城端に経由する特権を与えたことで、絹織物産業が発展。富と賑わいをもたらせた。

商売が繁盛すれば、神を敬うようになり、祭に発展する。今に息づく曳山文化の誕生である。

城端の曳山は、江戸端唄(はうた)と呼ばれる庵唄(いおりうた)が特徴の一つだ。京や江戸とのつながりが深く、情緒あふれる庵唄が庵屋台とともにみこしの行列に花を添える。もう一つは、他では見られなくなった傘鉾(かさほこ)だ。みこしを先導し、神を天からお招きするもので、各町内の信仰を代表するものとされている。3基のみこしを先頭に、獅子舞、剱鉾、8本の傘鉾、四神旗、庵屋台に曳山がお供して巡行するさまは、”越中の小京都”と呼ばれるだけあって華やかなものである。

5月4日が宵祭り、5日が本祭りだ。写真は傘鉾。

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雪の恩恵も忘れずに 富山県・相倉

2018年3月2日版掲載

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今年の冬は、北陸の豪雪に始まり、その後は平昌冬季五輪で新聞やテレビは連日、関連記事で大にぎわいであった。日本のメダル有力選手の出場ともなれば、テレビにくぎ付けになる。韓国は、日本との時差がなく、夕食を挟んでの応援は、結果がよければ「良かった良かった」と1日を終えることができ、日常生活も気持ち良く続けられる。

一方の豪雪は、日常生活に大きな影響が出る。行政の除雪費用が例年の3~5倍とも言われ、どの自治体も大変だ。私が住む五箇山は豪雪地帯で、今冬も一番多い時で3㍍を超えていた。それでも道路はきれいに除雪され、日常生活に支障はない。

時々、雪は思わぬ降り方をする。福井県から石川県にかけての国道8号は、2昼夜にわたって1000台以上の車が動けなくなる災難に見舞われた。ニュースで見る限り、平野では普通の降り方ではない。自衛隊が出動するほどのお手上げ状態だったことが分かる。

救いは、近辺の人たちが差し入れしたり、ドライバーも疲れているのに不満も言わず冷静だったことだ。早く抜け出して家に帰りたいという気持ちは痛いほど分かる。

私の家の周りは田畑も含め、いつも5月の大型連休ごろまで雪が残っている。水がぬるむ頃、雪はゆっくり解け始め、土に染みこみ、またいつか地上に湧き出て、私たちに恵みを与えてくれる。雪国の人々にとって、雪は生活の一部だと私は思う。もっと雪と親しむこともあってもいいのではないか。雪が降ったら邪魔者扱いばかりしないで、たまには雪だるまでも作って遊んでみたらどうだろう。

写真は冬の晴れ間の相倉合掌造り集落。

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マナー守り 楽しく撮る 島根県・津の森

2018年2月2日版掲載

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写真は、写す人と写される相手がいることは、これからも変わることはない。人物写真ともなれば、相手が人間だから簡単ではない。一昔前までは写す側も多くはなかったが、それなりに一般的なマナーを持っていたから、相手に無礼にあたるような撮り方はしなかったし、撮られる側も「まあいいか」という程度に終わっていたように思う。

しかし今はもう、歩いている人は皆カメラをはじめスマートフォンなど写真を写す道具を持っている。現代はプライバシーや肖像権の問題も含めて、撮る側より撮られる側の方が敏感だ。私も撮る立場なのに、住んでいる場所が観光地的な場所だから、撮られる側にいることも多い。

家の玄関を出た途端にカシャカシャとシャッターを切られることも度々ある。防ぎようがない。ストレスもたまる。仕方ないとあきらめる他ないのか。

最近は鉄道写真が熱い。「撮り鉄」と呼ばれる鉄道ファンはよりいい写真を撮るためにいろいろ考え、苦労している。そのことで迷惑をかけたり、トラブルになることもある。いい場所を確保するために足元の花を踏みつけたり、線路内に侵入したり、駅員や車掌さんにじかにカメラを向けたりするなど、マナーが問題になっている。プロのカメラマンの写真から読めるのは、マナーをきちんと守っていることである。

もともと鉄道好きな人たちの集まりだ。マナーの悪い人はほんの一部の人たちであって、ほとんどの人たちはマナーを守り楽しんで撮っている。プロは、人それぞれの個性ある写真を撮っている。アマチュアの人たちも自分しか取れない写真を楽しんでほしい。「ゆる鉄」という電車を写さないで鉄道風景を表現する写真もある。

写真は、自転車ごと電車に乗り込むためにホームに向かう女性。

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日本を感じる地 山形県・湯殿山

2018年1月12日版掲載

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私の住む家のすぐそばに「地主神社」がある。国を治め、地域の住民の健康、幸せを願う社である。境内には、2019年5月に新天皇になられる皇太子さまが、まだ浩宮さまと呼ばれていた学習院高等科時代、同級生と夏休みに訪問されたとき、読まれた歌碑が建っている。「五箇山をおとづれし日の夕餉時森に響かふこきりこの唄」とある。

弟の秋篠宮さまも数回にわたり家族と相倉にお越しになり、結婚されて間もなくの頃、紀子さまとお越しになり、神社の境内では村の人たちとこきりこの踊りの輪に入り楽しまれたこともある。

境内は子供の頃、一番の遊び場で、夏休みにはラジオ体操から一日が始まった。社には今、子供の頃はなかった賽銭箱が置かれ、観光客が手を合わせて願い事をしている。私たちの村の聖地である。

今、外国人も含めて旅をする人たちの目的地の中には、必ずといっていいほど聖地やパワースポットと呼ばれる場所が含まれている。自然を敬い、祈ることから始まったであろう信仰は、今の時代、聖地巡りの旅に発展したのだ。

山門や鳥居をくぐれば、人々は日常と違う空間に出合う。山形県の出羽三山は日本を代表する山岳信仰の聖地である。開山以来約1400年、多くの信者を霊場として救ってきた。羽黒山、月山、湯殿山と三山それぞれ役割がある。中でも最も俗世界と離されたのが湯殿山である。湯殿山は「話すことも聞くことも」ならない聖域である。深い森の中に朱い鳥居が迎えてくれる。一度は訪ねてみたい神秘の山のパワーと日本を感じる地である。

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新しい風に期待 石川県・珠洲市

2017年12月8日版掲載

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今年の秋、久しぶりに能登半島を一周してきた。初めて一周してから45年も過ぎた。その間の一夏、雑誌の撮影で、能登全域の主だったキリコの祭りを取材したことも懐かしい。その後も何回かは輪島市まで撮影に出かけているから、能登は私の中では身近にある。

今回、珠洲市で「奥能登国際芸術祭2017」が開かれていると聞き、出かけてきた。9月3日から10月22日までの50日間、珠洲市を舞台に11の国と地域から39組のアーティストが参加。総合ディレクターとして北川フラムさんが関わっている。北川さんといえば、新潟県の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」の総合ディレクターでもある。北川さんで思い出したことがある。

1988年10月、富山市の県民会館で、「アパルトヘイト否!国際美術展」が開催された。当時、南アフリカの人種差別問題が、全世界的に話題になっていた。世界34ヵ国81人の作家の作品154点を移動倉庫トレーラーに積んで世界中を回り、日本では約500日をかけて北から南までを移動していた巡回展で、作品の中身は直接アパルトヘイトに関するものではないが、問題に関心を寄せてもらうのが目的だった。その巡回展の日本のプロデューサーが北川フラムさんだった。

それら多くの芸術祭に関わってきた北川さんの奥能登芸術祭である。開催地の珠洲市は、古くは大陸との文化交流の玄関であり、歴史文化の豊かな土地でもある。今は交通の不便さから過疎化が進んでいる。今回の芸術祭で新しい風を呼び込もうとの思いもあろう。今回は規模こそ小さかったが、将来大きく花開くことを期待したい。写真は観光客で賑わう禄剛崎灯台。

 

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おやじについて

顔写真
池端 滋
いけはた しげる

1942年相倉生まれ
52歳まで東京と富山で
カメラマンとして生活
現在は妻と2人で民宿経営

写真集・連載・著書


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