富山県の南西に位置する五箇山は、日本でも有数の豪雪地帯です。この重い雪に耐えながら、養蚕など生産活動を行うためにできたのが、大きな屋根をもつ切妻造りの民家です。この建物を正面から見ると、急勾配の屋根が両手をあわせて天に向かって拝むように見えることから「合掌造り」と呼ばれるようになりました。建造にあたっては釘を使用せず、村人たちが協力して縄で縛り上げて作られています。
昭和中期以降、合掌造りの建物は激減しました。そんな中、比較的多くの合掌造りが残る相倉集落と菅沼集落は隣接する白川郷と共に、1995年「白川郷・五箇山の合掌造り集落」として世界遺産(文化遺産)に登録されました。世界遺産に登録された理由は、建物だけでなく伝統的な暮らしや文化が色濃く保存されていたからでした。合掌造り家屋群を中心とする農村景観は世界的に価値のある貴重な文化遺産と評価されたのです。今なお獅子舞や祭り、民謡や踊り、報恩講なども大切に受け継がれています。
勇助のある相倉集落の「合掌造り」家屋は20棟です。これらの多くは江戸時代末期から明治時代に建てられたものですが、最も古いものは17世紀に遡ると推察されています。
1970年(昭和45年):国史跡に指定
1994年(平成6年):「相倉集落と菅沼集落」重要伝統的建造物群保存地域に選定
1995年(平成7年):「白川郷・五箇山の合掌造り集落」世界遺産(文化遺産)に登録
「五箇山の唄と踊」国の無形民俗文化財に指定