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お知らせ・つぶやき

  • 2021.03.10
  • つぶやき
  • 記憶 この一枚に 石川県・輪島市
2021年3月6日版掲載 (2007年4月に始まった当コーナーは、今回が最終回です。約150回にわたり、日本海側の文化を紹介させていただきました。長い間のご愛読に感謝申し上げます。) 000001.jpg 2 昭和30~40年代の高度成長期、社会が安定し、日常の暮らしに余裕が生まれると、人々は余暇を楽しむために趣味を持つようになる。勤め先の企業でも映画サークル、ダンスや生け花クラブなど今で言うカルチャー教室のような集まりが次々と出来た。 ちょうどカメラが普及する頃で、カメラクラブも生まれた。写真を写しています、と言うと「いい趣味をお持ちですね」と言われた時代だ。私も当時、小さなカメラ店を営んでいて、お客の半分は近所の人たちで、あと半分は写真好きのたまり場だった。 用事がなくてもブラリと立ち寄って時間を過ごしていく。世間話や写真談議で時を忘れて話し込んだ。当時のカメラ屋さんのお客さんは、みんな似たりよったり。私の店にも何軒もはしごするお客さんがいて、いろいろ情報を提供してくれたものだ。 その後、時代はフィルムからデジタルに変わり、カメラ屋さんの中身も変わっていく。全国チェーンのカメラ店がお客を集めるようになると、小さなカメラ屋さんは次々と閉店に追い込まれていった。これも時代の流れだったのだろう。 当時、富山の写真好きがよく通ったのが、石川県・能登地方だ。能登は四季を通じて多様多種な祭りが多い。輪島市皆月地区の「アマメハギ」は、秋田県・男鹿半島に伝承されている「なまはげ」とルーツがよく似ている。今は国の重要無形民俗文化財に指定されている。 全国各地に伝わる「仮装の神々」の伝承行事の一つで、地方地方で形を変え、「外に出ないで怠けてばかりいると、強い子になれないぞ」と、鬼の面をかぶった者が家に入る。能登では、鬼やテング、猿の面を付けた一行が家々を訪れ、「怠け者はおらんか」と家々を回る。ゲームやテレビとは違い、怖いけど記憶に残る一日だろう。