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  • 2020.09.28
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  • ウキウキ風の盆 富山県・八尾町

2020年8月8日版掲載

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1970年。今からちょうど50年前、大阪府吹田市の千里丘陵で日本万国博覧会が開催された。日本の高度成長を象徴するかのように、「人類の進歩と調和」というテーマが世界に向けて発信された。日本人にとっても将来の夢と希望を印象づける催しであった。

まだ情報が少ない時代、世界の最先端を見ようと連日国内外から多くの人々が押し寄せ、会期中の入場者は6400万人以上にものぼった。

当時、私は五箇山民謡「麦屋節」の踊り手の1人として、お祭り広場で開かれた「日本の祭り」のステージに3日間立った。同じく富山県を代表する八尾町(現・富山市)の民謡「越中おわら節」の越中八尾おわら保存会の皆さんと、万博の舞台で競演。富山を世界に紹介できた大阪万博は今でもいい思い出だ。

その時の縁で、八尾町にも友人が出来て、その後、毎年9月の「おわら風の盆」には足しげく通うこととなった。今ほどには全国的に知られていない時代で、観光客も県内外の個人客が中心。町中は混雑もなく、ゆったり祭りを楽しむことができた。

その後、小説の舞台になったり演歌に歌われたりして、急速に全国的に知られるようになった。50年前には自由に撮影できたのに、今時の混雑ではカメラを構えるのにも苦労する。

さらに当時と違うのはカメラがフィルムからデジタルに変わったことだ。おわらは男女の優雅な振る舞いが見せどころだ。やみに浮かぶ様は見るものをしびれさせてくれる。ストロボの光は似合わない。ほの暗いぼんぼりの背景の中でしなやかに踊る男女を感度を上げたデジタルカメラで思う存分撮れることがデジタル時代の一番の強みだろう。

今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、おわら風の盆自体が中止されたと聞いた。全国のファンにとっては寂しい限りだ。写真は祭りの夕刻時。夜の本番に向けて行き交う人の心もウキウキだ。