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  • 2019.01.09
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  • 鬼らしくない鬼 青森県・五所川原市

2018年10月5日版掲載

私が住む富山県・五箇山地方は、豪雪地帯で、十数年に一度は5㍍を超える積雪がある。昭和38(1963)年、同56(81)年も5㍍を超えた。

今日のような車社会ではなく、雪はその場で高く積まれたままだった。除雪機もなスコップだけが頼りの時代で、雪が降り続けば家族総出の雪との戦いとなった。そんな冬でも、終わってみれば「今年は雪が多かったね」で、いつも通り春を迎える。

ここ数年の異常気象は被害が多すぎる。それに加えて、日本は地震でも大きな被害を受ける。近い将来、大都市でも大きな地震が予想されている。もし、東京で直下型地震が起きれば、日本はそれこそ立ち上がれなくなるぐらいの痛手を受けると常々思っている。それでも日々は過ぎていく。人間はもともとその程度のものだと思うことにしている。

青森県津軽地方は寒冷地。昔から天候不順に痛めつけられてきた。今でこそ品種改良や特産物の生産で昔のような被害を受けることも少なくなった。それでもいつの時代も変わらないのは「祈る」ことだ。ことあるごとに人は祈る。

全国に鬼伝説が数多くある。悪い鬼もいれば、良い鬼もいる。同県五所川原市金木町にも鬼っこ伝説がある。この鬼は親しまれる魔除けの鬼である。鳥居の上部「額束(がくづか)」と呼ばれる場所で、鬼が住民を迎える。赤鬼もいれば、青鬼もいる。そのうち熊野宮では奉納米俵の上で、力士のような白い鬼が下界を見下ろしている。皆が健康で幸福でありますように願っている。穏やかな、鬼らしくない鬼である。