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  • 2020.09.28
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  • 静かに撮影再開待つ 富山県・相倉合掌造り集落

2020年7月4日版掲載

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今年も半期が過ぎた。お正月のお餅を食べた時、誰が今の状況を予想できただろうか。新型コロナウイルスはこの半年で、地球上のほとんどの地に広がり、1000万人以上の感染者と50万人以上の死者を出している。同時に世界中の経済活動はダウンし、閉鎖された国では人の交流も途絶えた。なすすべがない。今まで経験したことがなく、すべてに先が見えない。

私が住むユネスコの世界文化遺産「相倉合掌造り集落」では、6月に入って閉鎖が解除になってから散歩する人も少しは増えてはいるが、民宿の宿泊客は戻ってきていない。朝晩の静けさは、無観客のスポーツイベントを見ているようだ。

カメラマニアは何カ月もどこでどうして写真を撮っていたのだろうか。自分の住まいの近くにも写真に撮れるものがこんなにもあったのかと発見した人もいるだろう。

こういう時は、カメラ雑誌を見るのも楽しいものだ。私が写真を学んだのもカメラ雑誌だった。中学2年の時、カメラもないのにカメラ雑誌に出合い、以来付き合いは60年以上になる。数百冊のカメラ雑誌は自宅裏の土蔵に山積されている。時間を見つけては見に行く。

今はスマートフォンで写真を撮る時代。その前はインスタントカメラ。安くて良く写った。カメラ雑誌はそれ以前の時代のものが面白い。高度経済成長期の日本社会はいいかげんで自由で何でもありの時代。美術、写真などいろんな文化が海外から輸入された。

一冊のカメラ雑誌が目に入った。1985年4月号の「カメラ毎日」で、表紙は「ハローグッバイ」と休刊の案内である。海外の写真を紹介し、日本の若手写真家を育ててきた使命は終わったのだろうか。喪失感を味わった思い出がある。

写真は合掌造りの屋根の葺き替え。雨で作業は休み。シートで覆われ、最近亡くなった”包む芸術家”クリストを想った。