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  • 2020.11.05
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  • 不思議で魅力的 島根県・津和野
2020年10月3日版掲載 IMG_6507 津和野は、島根県南西部に位置し、山陰の小京都と呼ばれている。周囲を山に囲まれ、津和野川沿いに街並みが広がる。古い町並みの本町通りを中心に、国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されている。 歴史的建造物も数多く、山城の津和野城跡、森鴎外旧宅(いずれも国指定史跡)、ステンドグラスが美しい津和野カトリック教会など、多様な文化が入り交じった不思議で魅力的な町だ。 私が津和野で楽しみにしていたのは、安野光雅美術館。今年94歳の安野さんは津和野出身の画家で、美術館には多くの絵本原画が展示されている。ヨーロッパの街並み、田舎の風景、人物、不思議絵が優しい色彩で描かれている。年代を問わず楽しめる。人間、化学、文学など旺盛な好奇心から生まれる知識は豊富で、文章の達人でもある。司馬遼太郎の「街道をゆく」の装画でも知られている。 もう一つは「桑原史成写真美術館」。桑原さん(83)は、同じく津和野出身で、昭和を代表する社会派カメラマンだ。代表作ともいえる水俣病患者を撮影した作品や炭鉱労働者の写真は、日本の高度成長期の裏にある社会問題を深くえぐり出した。いずれも時がたてば忘れ去られてしまうかもしれず、写真での記録は大きな意味がある。もう桑原さんのような骨太のカメラマンは生まれないだろう。 津和野には、鉄道ファンにはたまらない一面もある。新山口駅から津和野まで毎年期間限定でSL「やまぐち号」が走っている。SL到着時の駅のホームは、乗り鉄と撮り鉄ファンの笑顔であふれている。写真は「伝建地区」に指定されている本町通り。普段は静かだ。