静かに眠る聖地 中国・西安市

2020年2月7日版掲載

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初めて中国を旅した1979年、同国は四つの近代化(農業、工業、国防、科学技術)達成のため、外貨の獲得に最も力を注いでいた。その中心だったのが観光事業だった。

西安市は北京の南西に位置し、中国でも歴史ある街で、日本の奈良や京都とも友好都市の関係にある。西安市で今、観光スポットとして人気が高いのが世界文化遺産にも登録されている「兵馬俑(へいばよう)博物館」だ。兵馬俑は1974年、近くの農民が井戸掘りの作業中、偶然発見した。古代中国で死者を埋葬する際に兵士や馬車をかたどったものを副葬したという。

私たちの訪問は、7月。中国の友好県からのお客さんということで、公開前の見学が許可された。当時、国慶節の10月1日一般公開を目指していた。体育館のような巨大な建物は230㍍×70㍍もあり、室内には6000点以上という陶製の武士像が土中から空に向かって整列し、異様な光景だったのを覚えている。

発掘現場から約1.5㌔離れた場所に「万里長城」を築いた中国史上最大の権力者、秦の始皇帝の陵墓があり、高さ116㍍、周囲2.5㌔と、小高い丘のようだった。一面ザクロの木で覆われてはいるが、権力者の墓にしてはシンプルであり、山そのものが眠りについている感すらあった。

私が再度その地を訪れたのは8年後の1987年のこと。始皇帝陵の頂上に向かって歩道の両脇に観光客向けのお土産店がびっしり並んでいた。両手にお土産品を持った売り子が声をかけてくる。日本のどこかにもある風景だが、8年間の変わりように驚かされた。

写真は79年当時の始皇帝陵。石碑が建っているだけで静かな聖地の顔である。

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