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  • 2019.10.20
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  • 令和祝う「こきりこの唄」  富山県・相倉合掌集落

2019年5月10日版掲載

令和時代が始まった。昭和に生まれ、高度経済成長の波に乗り、豊かさも手にした。平成時代はバブルに始まり、日本列島の宿命ともいえる天災は、幾度となく国民を苦しめた。被災者の苦しみは今も続いている。

報道されているような大都市の直下型地震が発生すれば、過去の災害の日ではないかもしれない。”平和ボケ”のようにもみえる今の日本。令和という新しい時代を迎えたとはいえ、手をたたいて喜んでばかりもいられないと思う。

原発を中心としたエネルギー問題、人口減少、少子高齢化、地方格差など山積する問題は、日本の土台を揺るがすものだ。子どもの教育から高齢者福祉まで、だれもが安心して暮らせる社会を目指すのはもちろん、次の世代に少しでも負担をかけないように考えるのが令和の時代に生きる全ての人々の責任ではないだろうか。

私が住む富山県南砺市の相倉地区は、1966(昭和41)年、国史跡の内定を受け、4年後に本指定された。95(平成7)年にはユネスコの世界文化遺産に登録された特別区のような場所だ。いずれも、将来過疎化を迎えるであろう合掌造り集落を日本の代表的な伝統集落と認め、次世代に継承するべく半強制的に指定を受けた。

地区の中心にある地主神社の境内に、新天皇の歌碑が建っている。76(昭和51)年、学習院高等科2年の時、地理研究会の仲間とともに御来村された折に詠まれた短歌「五箇山をおとづれし日の夕餉時 森に響かふこきりこの唄」が刻まれている。

令和がスタートした5月1日、住民が集まり、白梅を植樹し、お祝いした。「人生は旅だ」と今まで幾度となく聞いてきたが、自分の生まれ育った地が秘境と呼ばれていた半世紀前には考えられない一日だった。