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  • 2019.10.20
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  • 多様な山岳信仰 富山県・南砺市

2019年6月7日版掲載

日本は山と海に囲まれた島国。山に海に昇る太陽、沈む太陽に手を合わせることで心のよりどころとしてきた。

霊峰、富士山に代表されるように、高い山は日本各地で人々の心の支えとなり力となってきた。それは昔も今も変わらない。特に日本三霊山とされる富士山、白山、立山には山岳信仰としての歴史があり、人々とのつながりは今も日常生活の中に息づいている。

2013年、世界文化遺産に登録された富士山は、日本人にとっては特別の山だ。信仰ばかりではなく、登山、美術、音楽、写真など幅広い芸術の素材となっている。銭湯壁画の定番でもあり、信仰を超え、日本中で愛される存在だ。

一方、約1300年前開山と伝わる立山。万葉時代から「神々が宿る山」とされ、平安時代には仏教の山としての意義が加わり「立山信仰」が確立。江戸時代には全国から信者が集い、立山一円は聖地としてにぎわったという。

標高3003㍍の主峰雄山頂上に建つ雄山神社の峰本社を中心に男衆は立山登山、立山は女人禁制だったため、女性は麓の宿坊で帰りを待った。日本列島で生まれたさまざまな形の山岳信仰は、先人たちの精神の豊かさの証明だと思う。

令和になったばかりの5月11、12両日、私が住む南砺市の上梨地区にある白山宮で33年に1度のご開帳があった。白山宮は、白山信仰に由来する全国に約2700社ある白山神社の一つで、本殿は1502(文亀2年)に建てられ、向拝の蟇股(かえるまた)などは室町時代中期の特徴を示す富山県最古の木造建築。1958年に国指定重要文化財に指定されている。

ご開帳には近隣8地区から地元のこきりこ唄、麦屋節、獅子舞が奉納され、五箇山一のにぎわいを見せた。写真は、獅子舞を先導する山の神ともいわれる天狗。