お知らせ

お知らせ・つぶやき

  • 2021.01.02
  • つぶやき
  • 神が求める異様 石川県・能登町
2020年12月5日版掲載 000002 福岡県柳川市は有明海に面した風情ある水郷の地方都市として知られている。市全体に水路が張り巡らされ、総延長は470キロとも言われている。また、北原白秋の生誕の地でもある。 堀割とも呼ばれる水路は、市民生活に重要な役割を果たしてきた。いつの時代も水はきれいで、水辺の生物たちも人々に潤いを与えてきた。 生活の一部だった川も、高度成長期には上下水道が整備され、水辺も少しずつ人々から離れていく。時の経過とともに川辺には汚れも目立つようになり、悪臭も発生した。柳川市も他の都市と同様に、掘割を埋める都市計画を昭和52(1977)年に市議会で決議した。しかし、ここからが柳川のすごいところだ。時の担当者の都市下水道係長が、この計画に異議を唱え、川を清浄にして水路の機能を回復することが重要だと、市や住民に訴えた。 水路を一度なくしたら、水郷柳川は元に戻らない。元のきれいな水路に再生しようという呼びかけは、人々の心を動かし、水路は守られた。 この実話は、当時、アニメ映画製作で名を知られていた宮崎駿さんと高畑勲さんの2人が、制作と監督の立場でドキュメンタリー映画に仕上げた。2時間45分の長編「柳川掘割物語」である。34年前に見たドキュメンタリー映画を、今もその地を旅して、掘割を見るたびに思い出す。忘れられない一本だ。 写真は能登半島の能登町のあばれ祭。祭神「須佐之男命(すさのおのみこと)」は、荒ぶる神。海の中、火の中へ屈強な海の男たちによっていたぶられる。きれいでもない川の中を男たちがみこしをかついで走り回る。 祭りは何が起きるか想像できない。神が求めているからだろうか。